2013年6月21日金曜日

百水の巻


Hundertwasser - Bahnhof *という駅があります。見たところお菓子の家のようなのですが、Hundertwasserがデザインした駅です。
どうやら乗り換えとかで使うことがあるらしく、作家を知らない人には“ヘンな駅”という事になっていた~残念!

駅は古いもので、今の町の中心から少しずれてしまっています。
小さい街で静かにきれいに暮らす人々の匂いが、した。
土曜のせいか、それともそもそも閉まっているのか不明ですがヘンなモノを売っているお店は閉まっていて、訳の分からない買い物をせずにすみました。

Hundertwasser は相当な昔、日本で大きな展覧会**を見て以来大変興味をもっている作家の一人です。ブレーメンでの展覧会***も観に行ったくらいです。駅の中にある会場で彼の版画展が始まったので、訪問(展示に工夫がいるんじゃないかなぁ?)。

Hundertwasser を日本語にすると、百水。この印鑑を日本で作った版画に押してあります。

ちょうど町のお祭りのようで、出店やらコンサートやらが催されていました。待ち合わせしたアーティストがやってくるまでビールを呑みながら楽しむことに。
地元の若者のバンド、音を調整しつづけ…なかなか始まらないよ。なんとも素人っぽい感じが微笑ましい、と思うことにする。向かいに座った女の子(たぶん中学生くらいかなぁ~)は一人なので何やら話しかけて来る。私がハンブルグから来たと言ったらちょっとビックリ。彼女はお姉さんのお友達のバンドだ言ってました。ちょっと背伸びして一人で来たんだなぁ~と想像。

駅ではバラを配っていました…ピンクのバラを頂く。
待ち人と一緒に黄色いバラを頂く。

親しくしている友人がヒザを壊した。お隣さんがヒザを壊し杖をつきだした。

友人の名前ニコさんを日本語すると…二個~!あんまりだ。ということで漢字を考える。
丹虎 –紅い虎か…イメージじゃないね。


* 本当はUelzen という名前です。
** フンデルトワッサー世界巡回展(Hundertwasser 1977 東京)西武美術館
*** ブレーメンの美術館で2012年10月から2013年2月まで開催された。1949年から1970年の作品展

2013年5月17日金曜日

二羽の鳥のご縁の巻


“二羽の鳥”に出会ってしまったのは、もうしばらく前だ。
よく立ち寄るお店のウィンドウに懐かしい鳥の焼き物が出ていた。少し大きめで二羽の鳥が向かい合っている。価格は20ユーロを超えていた。考えるつもりで帰ったのが心残りの始まりになった。後日焼き物は消え、私は二度と見ることはなかった。
それはドイツでも一時期に流行った置物で、お婆さんの家にあるような、と称されるものだ。確かに私もずっと昔に友人宅のお婆さまの部屋で見た気がする。

一羽の鳥を美しく彩り焼き物にしたものも多い。小さくて可愛らしいものだ。

しかし私は二羽の鳥に出会ってしまった。ジョセフ・コーネルの夢を見た日、おそらく確実に閉店した店のショーウィンドーの中にオウムの剥製が二羽いるガラスケースを見つけた。
ハンブルグの最も古い町並みが残る一郭のカフェで二羽の鳥が跳ぶ壁紙を見た。
好きな店のウィンドウに二羽の陶器の置き物を見た。

私がようやく手にしたのはインコが二羽いる焼き物。ベルリンのフリーマーケットで見付けた。

“お婆さんの家にあるようなもの”と言っても、だれの家にもあったようではない。誰に聞いても自分のお婆さまが持っていたというドイツ人はいなかった…

展覧会の準備の為に訪れた小さい。第二次世界大戦当時の軍人の写真が飾られたアンティークショップに入ると、店主はアーティストか?と聞く。早く出たそうな連れを無視して細かく見入るとケースの中に、その鳥たちはいた。

押さえきれず価格を聞くと、店主はプレゼントしてくれるのだ。胸がドキドキした。

胸がドキドキするなんて久しぶりだ。

翌日、古い、本当に古い友人から10年振りくらいにメールが入った。メールには子供の頃私が彼女に送ったカードが添付されていた。

その陶器の置き物を洗うと、いかにもフツーのただ時間の経った、お婆さんの家にあるような鳥たちになった。

私は初めての彫刻作品をそので展示する。

2013年4月3日水曜日

Wiesbadenの巻


Wiesbaden*に行きました。badenってお風呂のことなので、ナニかの間違いと思っていた所温泉が出るらしい~
全くイメージのないままたどり着いた街はコジンマリとした、坂のある街でした。


一つのメールがきっかけで始まったプロジェクト展のオープニングに合わせての滞在。


プロジェクトの展覧会は沢山のゲストを迎えて無事はじまりました。坂、温泉、文化の話をする人々。そして南ドイツの皇帝の匂いがする。


早朝の電車に飛び乗り、作業…、オープニングのあとは思いっきり飲みました。展示の後はコレ出なきゃ〜ね!
そして転んでしまった…チャンとしなきゃぁ

*Wiesbaden: フランクフルトから電車で1時間くらいの街。

2013年2月13日水曜日

サシミで人魚の巻


「陰陽師」*の冒頭に人魚を食べるシーンが出て来る。どうやら見ると料理はされていず、刺身のようだ。後ろには上半身を白布で覆われた大きな背びれを持つ魚が見える。

ベルリンでたくさんのヘンなモノが集まった展覧会を見た。
"WONDERUL Humboldt, Krokodil & Polke"
Die Olbricht Collection

剥製などもたくさん展示されていて、特に鳥の剥製たちは様子がよく部屋にあったらどんなにイイかと思いめぐらせてしまった…
いわゆる気持ち悪いもの~ 気味の悪いモノ~ 不思議なモノ~ (作品とかでね)がみごとにいろいろ集められていました。

日本からの登場は江戸時代に制作された人魚のミイラ。大きめのサバくらいの下半身に小さく細工された爪のある両手と歯をもつ口、頭と続く。這いつくばった姿勢で突き出た背びれを持つ。

人魚といえば〜かの有名な「人魚姫」が浮かぶ。ヌルっとした下半身。
日本人が考える人魚は、背びれを持っていつも食べてるくらいのリアルな大きさ。魚を食べてるからね~あんな酢漬けの鰊みたいな人魚想像しないんだよなぁ。

ところで、不老不死になっても今じゃ…ねぇ

* 映画「陰陽師」2001年 監督滝田洋二郎 原作夢枕獏 主演野村萬斎